日本酒は何度で飲むとおいしい? 何度で保存するのがいい? お酒と「温度」の関係

日本酒は冷やして飲んだり、常温で飲んだり、温めて飲んだりと、さまざまな温度帯で楽しむのが「当たり前」の世界的にも珍しいお酒。そして、飲む温度だけでなく「保存温度」も最近では注目を集めています。世界中から注目を集める日本酒を「温度」という切り口で考えてみました。
何度で飲む? 日本酒の飲用温度
日本酒の飲用温度を示す言葉としては「熱燗」「ぬる燗」「常温」「冷や」といったところが一般的ですが、実はこの4つ以外にもさまざまな温度帯に名前がつけられているのをご存じでしょうか。まずは、以下のまとめをご覧ください。
「熱燗」「ぬる燗」「常温」「冷や」以外にもこんなに呼び名があったのか! と驚かれた方も多いのではないでしょうか。以下、日本酒を温める・冷やす、それぞれの名称について見ていきましょう。
日本酒は冷やすほどすっきりさわやかな味わいに感じられ、反対に温めれば温めるほど香りが立って、アルコール感も強まり、いわゆる「辛口」に感じられるようにもなると言われています。だいたい15度から30度の間の温度帯は「常温」から「冷や」にかけての温度で、お酒のニュートラルな味わいを感じられる温度帯と言えます。
燗には6つ、冷やには3つの種類がある
日本酒を“温める”場合の呼び名には、ほんのり温かい約30度の日向燗から、触れると熱い飛切燗まで5度刻みで6つの名称があります。日本酒は温めるとキレの良さが増し、キリっとしたシャープさが感じられるようになったり、お米本来のうま味を強く感じられるお酒だと、よりふくよかな味わいになると言われています。味わいもさることながらとくに寒い冬の日にはこたえられないおいしさになります。
熱燗でおいしいお酒もあれば、人肌燗くらいのぬるめで飲んだときに良さが引き立つお酒もあるので、様々な温度帯を試してみるとお酒の意外な表情が楽しめるかもしれません。また、一般に温めて飲むには純米酒、本醸造酒、普通酒といったカテゴリーのお酒が向くとされます。
一方、“冷やす”場合は温度帯によって15度から5度刻みに3つの名称があります。冷蔵庫の冷蔵室の温度は約3度から6度くらいなので、冷蔵庫から出したばかりの日本酒は「雪冷え」(5度)と「花冷え」(10度)の間くらいの状態といえます。冷やした日本酒はキリッとした味わいで飲みやすく、日本酒を飲みなれない人でもスッキリ飲めるはずです。ちなみにシャーベット状になるまで冷やした(凍らせた)日本酒のことを「みぞれ酒」と呼びます。
火入れを行わず冷蔵保存が前提となる生酒や、フルーティな香りを楽しみたい大吟醸酒は基本的には冷たい温度帯で飲むことが一般的。とはいえ大吟醸を燗をしてはダメということもないので、チャレンジしてみるのもありでしょう(ただし、その場合はぬるめの温度帯から試すのがベターです)。また、たとえば最近人気のスパークリング日本酒などは、冷蔵庫でしっかり冷やして飲むのが、吹きこぼれにくくさせる意味でも前提となります。
冒頭で述べたように、日本酒はさまざまな温度帯で楽しめることも大きな魅力のひとつ。さまざまな温度帯を試してみて、自分なりの楽しみ方を見つけるのも良い方法です。
日本酒は「保管温度」にも注目
さて、ここまでは日本酒の飲用温度について解説してきましたが、ここからは保管温度についても考えていきたいと思います。
基本的に、日本酒を自宅で保管しようと思ったら、選択肢は冷蔵庫に入れるか、入れないかの二択になるかと思います。その際、純米酒、本醸造酒、普通酒といったお酒は室温が15度前後であれば常温保存でもOK(ただし、なるべく涼しくて暗い場所が望ましいです)。一方で、吟醸系のお酒や生酒などの要冷蔵と書かれたものは、冷蔵庫で保存する必要が生じます。
どこで保存するにせよ、日本酒は香味や色が積算温度によって変化していきます。冷蔵庫でも常温でもそれは変わりませんが、積算温度による変化なので、温かい環境で保存したほうが香りや色が変化していくスピードは速くなります。それらは良い変化となることもありますが、「ヒネた」と言われるような、好ましくない変化を起こすこともしばしばあります。
一方、口当たりのまろやかさは積算温度ではなく時間によって変化していきます。これは、アルコール分子を水分子が取り囲む「クラスター効果」によるものだと言われており、時間が経過するほどに日本酒はまろやかになっていくのです。近年では、この性質に着目した第三の選択肢が登場しています。それが0度を下回る氷温での保管です。
日本酒の「氷温熟成」が人気の理由
マイナス3~5度の、日本酒が凍らない氷温で保存した場合、積算温度による変化がほぼ起こらないため、日本酒ならではの香味も色味も変化はほぼ起こりません。その状態で保存=熟成が進むと、フレッシュな香りはそのままに、口当たりだけがなめらかになっていきます。これを日本酒の「氷温熟成」と呼び、一部の蔵元では自社で氷温熟成させたお酒を「氷温熟成酒」としてリリースするケースもあります。
ただ、氷温での保存は家庭で行うのが難しいのがネック。家庭用の冷凍庫の温度はマイナス18度以下になっているため、大抵の日本酒は凍ってしまいます。
一方、近年ではいい日本酒を(ワインのように)購入してご自身の手元で熟成させたい、というニーズも高まっています。そのようなニーズに応えるものとして登場したのが日本酒セラーと呼ばれる専用冷蔵庫で、そのなかには氷温熟成に対応しているものも存在します。
ルフィエール 日本酒セラー (セラー専科)
氷点下の温度設定が可能な日本酒セラーであれば、好みの日本酒を入れて一定期間氷温熟成させることで、香りや色は(ほぼ)変化させずに口当たりの変化だけを楽しむことが可能になります。
いろいろな温度で日本酒を楽しもう!
飲用温度のところで解説したように、日本酒は昔から温度を楽しむお酒として親しまれてきましたが、氷温熟成という概念や、それを可能にする日本酒セラーの登場で、現代では「保管温度」まで楽しみの幅が広がった、とも言えるかもしれません。
また、搾りたての日本酒を瓶ごと急速冷凍し、ご家庭で解凍して楽しむことで蔵元でしか飲めないフレッシュな味わいを楽しめる凍結日本酒といった商品も登場しています。これもまた、日本酒を楽しむ幅を広げる「温度」の工夫と言えそうです。
凍結日本酒 もし君がこのまま起きなかったらどうしよう (酒日向。楽天市場店)
日本酒は飲む温度、保存する温度などに着目すると、もっともっと楽しみの幅が広がります。このお酒は何度で飲もうか、何度で保管しようか、そんなことを考えてみると、日本酒をさらに楽しめるかもしれませんね!